再び宮古島市 小・中学校の統廃合問題について

市教育委員会の学校規模適正化の取り組みについて

 以前から述べているところですが、市教育委員会の学校規模適正化の取り組みは、私立幼・小・中学校における複式学級の解消が眼目とされます。本市には現在、小学校20校(幼稚園同数)、中学校16校があります。小学校の規模別内訳ですが、大規模校2校、適正規模校3校、小規模校12校、過小規模校6校です。

 中学校の内訳は、適正規模校2校、小規模校12校、過小規模校2校です。
PTA、地域、郷友等の大半が特に懸念しているのが、現在ある幼・小・学校の存廃であろうと思われます。
 
 ところで、市教育委員会は平成23年度中に、宮原小学校を手始めとして、合計12カ所の学区を回り、統廃合にかかる説明会を持ちました。

 そのなかで明らかになっていったことは、市教育委員会の、なんとしてもやりぬきたい学校統廃合への執念とでも言える姿勢でした。特に、教育委員長がどの地域でもくり返す「地域が納得するまで何度でも足を運ぶ」という発言は、まさに学校や保護者、地域に対する恫喝、すなわち立場=地位を盾にした脅しともとれるものでした。ただ、説明会一巡後に、あらためて再検討するという言質はとっています。

 説明会のなかでは、統廃合に関して教育委員会の提示する(既に市長へは答申済みですが)基本方針への反対意見がどの地域でも圧倒的に多く、明確に賛成の意見が出たのは砂川学区のみ(一人)でした。砂川学区では、その他に、中学校については統廃合賛成の意見もありました。

 ここで、参考のため、小規模校のメリット、デメリットと統廃合のメリット、デメリットについて挙げてみます。

※小規模校のメリット(学習環境の面)

  • 教師が子どもたち一人ひとりの特性を把握しており、個に応じたきめ細かな学習指導、生活指導が受けられる
  • 学校生活への参加意識が高くなり、互いに支え合う機会が増える。

※小規模校のメリット(生活環境の面)

  • 生徒同士、教職員、保護者と親密な関係が深まりやすい。
  • お互いの特性を理解しやすく、人間関係が深まりやすい。

※小規模校のデメリット(学習環境の面)

  • 子ども同士で高めあおう、学びあおうとする気持ちが薄れやすい
  • 集団のなかで多様な考えかたに触れる機会、学びあいの機会が少ない。
  • 子ども同士の評価が固定されやすく、学習意欲や競争心に問題が生じやすい。

※小規模校のデメリット(生活環境の面)

  • 人間関係や相互の評価などが固定化しやすい。
  • リーダーが得られにくく、リーダーが固定されやすい傾向にある。
  • 教師に依存する傾向が強くなりやすく、自立心や社会性が育ちにくい。

※統廃合することのメリット(学習活動の面)

  • 複式学級の解消
  • 多様な考え方に触れる機会が多くなり、学習課題を解決するための思考が広がる。
  • 体育、音楽などの集団学習や集団行事を適切に進めることができる。

※統廃合することのメリット(生活環境の面)

  • 人数が増えることにより、様々な場面で切磋琢磨できる環境が整う。
  • 友達関係が広がる。
  • クラス替えによる学習環境、生活環境の変化に対応する力をつけることができる。

※統廃合することのデメリット(学習活動の面)

  • 個に応じたきめ細かい指導の場面が少なくなる。

※統廃合することのデメリット(生活環境の面)

  • 上級生や下級生との縦の関係が薄くなる。

●その他のメリット

  • 保護者の数も増えるため、PTA活動を活性化することができる。

●その他のデメリット

  • 通学時間が長くなる。
  • 徒歩通学では安全性の問題が生じ、低学年児童への負担が大きい。
  • 廃校となった地域の活力が低下する。
  • 教職員定数の減少を招き、採用や異動に影響が生じる。
  • 廃校後は、地域の防災拠点、スポーツ行事の拠点がなくなる


 大(中)規模校(級)のメリット、デメリット、小(過)規模校(級)のメリット、デメリットはだいたい掲載のとおりです。

 大(中)規模校(級)にメリットが多いというのはその通りかも知れません。この、大(中)規模校(級)のメリットというのが、市教育委員会が統廃合を進める主要な論点だと思われます。一般論として、それを否定するものではない、という意見は多数あるかも知れません。
  
しかし、児童・生徒の父母等の保護者、地域の人々の、「だからといって、100年もの歴史をもつ地域の学校が、人々の十分な合意もなくて、いとも簡単に廃されていいのか」という思いを、果たして納得させられるのか、ということだと思います。

 私は持論として、幼稚園児、小学校児童等は親の目が届きやすく、また地域の人々の見守りのある近隣で学ばせ、育てるべきだと思っています。教育上のメリットがあるとはいえ、園児、児童を親や地域から引き離すのは子育てという面でどうなのか、という思います。近くにある学校を廃し、園児や児童をバス通学させねばならない事態は避けなければならないと思います。

  

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