東平安名崎根元付近の開発計画について

高松開発(株)の計画及び(株)吉野の開発



画像:宮古島市 保良地域 土地売却エリア地図 (ホテル開発やゴルフ場建設等)

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画像:宮古島市 マエバー
 東平安名崎根元付近の開発については、旧城辺町時代に本格的なリゾート計画が実現の一歩手前まで進んだことを記憶にとどめている方も多いことと思います。旧城辺町と大阪在の高松開発(株)が県の開発許可も取り付け、開発協定を取り交わしたのが1987(昭和62)年3月でした。この時点での事業計画面積は1,968,269㎡。あとは同企業等の工事着工をまつばかりとなったのですが、しかし、企業が工事に着手する気配はなく、結局同企業は(株)オーシャンリンクス宮古島(後の(株)吉野)へ開発主体たる地位を承継(1995年・平成7)しました。以後オーシャンリンクス宮古島が開発行為の主体となり、ゴルフ場の開設に漕ぎつけるのですが、ホテル部門は手つかずのままでした。

 オーシャンリンクス宮古島は2001(平成13)年に(株)吉野に社名変更し、以後今日に至ります。ゴルフ場には保良元島の集落遺跡が含まれることから遺跡一帯の工事による掘削などは認めず、盛土保存の上で利用されているのが現状です。また、重要な遺跡等も存在することや、東平安名崎一帯が町や町民にとってきわめて重要な歴史的遺産であり、町民にとっての宝、財産であるという認識のもと、旧城辺町は企業が利用する一帯の町有地全部を売却ではなく貸し付けるという手法をとったのでした。このことが議会や町民をしておおむね開発賛成へと向かわしめた大きな理由だったと思っています。すなわち、本土の企業が利用しようが、東平安名崎一帯の土地や景観は町民共同のものでありつづけるという一種の安心感です。

 その後、2007(平成19)年4月(株)吉野は東平安名崎根元付近の市有地(市町村合併2005年・平成17年10月より市有地に)の譲渡申請を市に提出します。簡単に言えば、市にたいして市有地を買い取りたい旨の申請です。(城辺字保良1221番49外10筆、189,287㎡) さすがに、保良元島遺跡のあるゴルフ場用地まではその中に入っておりませんでしたが、地元の人々がマイバーと呼んでいる岬の根元にある海岸を抱え込むような市有地までもが売却対象ということには、地元の人々がやはり怒りをあらわにしました。売却価格約2億円です。

 大まかな計算ですが

1㎡当たりの価格 1,057円
1,000㎡(約1反) 1,057,000円
10,000㎡(ha) 10,057,000円


という価格でした。東平安名崎の絶景を望む広大な緑地がです。

 この申請を受けて、市は同年6月4日、臨時議会を開き、賛成多数(賛成13人反対10人)で可決、売却が決まりました。売却に反対する地元住民の声は届きませんでした。

 私ども保良部落会や、福嶺地域、旧城辺町の人々がこの市有地売却に激しく反対したのは、要約すれば次の理由によります。

  • 旧城辺町が町有地売却ではなく、貸付けであったことを無視したこと。
  • 売却地が東平安名崎及びマイバー浜を囲い込む立地であり、地元は意向さえも聴取されなかったこと。
  • 売却地は開発等、人の手が入っていない地域で貴重な動植物の宝庫であり、地質調査や文化財等の丹念な調査がまだ行われていないこと。
  • 観光的利用に供されるとすれば、あの立地から考えれば土地価格は市が提示した価格の10~20倍の価値があると思われるのに、まさに二束三文という表現が当てはまるような安値で売却されたこと。


 その他いろいろな要素がありましたが、これらのことが地元も含め、旧城辺町の人々の
プライドを著しく傷つけたのは間違いありません。東平安名崎は、観光地の意味あいで言えば宮古島を代表する景観を有しているのです。根元付近の緑地は普通の原野とは違います。


H・P・Dコーポレーションの開発計画


 HPDコーポレーション(大阪在)の開発計画については、2007(平成19)年の暮れに城辺支所・地域振興班長から電話で連絡を受けました。(2007・2008年度は私、下地博盛が保良部落会長の任にありました。)HPDコーポレーションの社員が部落会の役員に会って事業の説明をしたいということなので、機会をつくって欲しいという要請でした。同年12月16日、スマフサラ行事のあと班長さんたちを中心に企業の大まかな計画概要について説明を受けました。当日は、計画の位置と建造物の概略が示されました。

 その後住民皆さんへも計画についての概略を提示しながら意見を聴取するということでその日は終了しています。

 明けて2008(平成20)年3月30日、2007年度の決算総会で第2号議案「保良・宮土地区リゾート開発について」として議案提案を行っています。この2号議案についての会員皆さんの反応は醒めたものでした。かなり以前に所有する畑地や保安林、原野を売却した保良の人々は、一部の人々であったとはいえ、その土地をいずれ企業がリゾート用地として利用するであろうことを知ったうえで手放したいきさつがあり、でありながら開発に反対の声をあげるわけにはいかないことを当然感じていたという事情があります。部落会が総意として開発反対の声を上げれば、土地を手放した皆さんを窮地に追い込むことになりかねず、集落のなかで非難、中傷等、亀裂を生み出しかねない事態を会員の多くが避けたいという思いが「醒めた」反応に見えたのでした。

 できることであれば、東平安名崎の根元付近の自然はそのまま残したいというのが部落会の総意であることはそのとおりですが、「致し方ない」というのが集落の皆さんの大多数の意見でありました。結論としては、計画に反対をしない、ということになりました。

 私たちがこの計画に反対をしなかった理由は、要約すれば次のとおりです。

  • 保良の土地所有者がかなり以前、既に企業に売却していた。
  • 東平安名崎及びマイバー海浜を囲い込むような立地ではないこと。
  • 計画地の地目は畑地が多く、文化財や貴重種等の懸念が少ない。
  • 企業が地域と協議しながら進めていく姿勢を示している。
  • 計画地が比較的海浜に接近していない。


 等々でした。

 ですが、総会ではさまざまな意見が出されました。マイバー海浜と計画地の距離や影響、ウミガメ保護の課題。景観の課題、施設からの照明、汚水処理、暴風・防潮林、石灰華段の保護、地域へのメリット等々です。

 そこで提案をしました。部落会のなかに住民側の意見や要望をまとめ、それらを厳しく企業に守らせるための協議会を設立し、対応していくことが必要なのではないかという提案です。幸い、その方向での協議会設立が承認をされましたので、総会後にまず企業への申し入れ事項を作成し、協議に入ることとしました。

 2010年6月17日に「ふるさとの自然保護と活用を考える協議会」(仮)を設立、7月9日には企業への申し入れをしています。申し入れ事項は以下のとおりです。


保良宮土地区リゾート開発にかかる企業(HPDコーポレーション) への申し入れ事項等について
  1. リゾート施設での雇用について
  2. 自然環境の保全と緑化について
  3. 景観保全及び景観創出について
  4. 地域の農業・漁業体験、各種レジャー等の委託について
  5. その他(地元特産品の使用について)


1、リゾート施設での雇用について
 施設内外の清掃、その他の雇用については可能な限り、
 地域(特に福嶺学区)に居住する人材の活用に努めること。


2、自然環境の保全と緑化について
 1)基本コンセプトとしての集落型リゾート(コテージタイプ)の型を守ること。
   コテージタイプ以外の低層棟建設(第二次計画)については計画案を明示すること。
   また、建設前に当部落会と協議すること。 
 2)海浜及び農用地に隣接することから、リゾート施設内にては
   積極的な植樹を進めること。
 3)施設近くには貴重な文化財(ティダガー等)や開発の及んでいない海浜等があり、
   汚水、雑排水、有害水等の流出は許されないこと。
 4)隣接海浜は貴重種タイマイをはじめとした海ガメの上陸、産卵が確認されており、
   施設内の外灯などの陸地向け設置に配慮すること。


3、景観保全及び景観創出について
 1)県道83号線からの東平安名崎及びマイバー内海眺望を妨げないため、
   多目的オープンスペース(アクティビティエリア)での建築物等建造を避けること。
 2)宮古島の原風景である深い緑に包まれた赤瓦屋根や茅葺き屋根等で
   宮古島らしさの創出に努めること。
 3)国の名勝である東平安名崎の景観との調和に最大限配慮すること。


4、地域の農業・漁業体験、各種レジャー等の委託について
 宿泊滞在者の各種レジャー、体験等については地域の受託団体に
 極力委託若しくは紹介を行うこと。


5、その他
 地元特産品の施設にての使用は極力、これに協力すること。

 以上です。


 企業の考え方、地元の考え方に温度差があることは当然で、若干、不満の残る部分もありましたが、しかし、一定程度の歩み寄りは相互に必要と考えられます。この要請書を基に企業側が協議書(案)を作成、地元協議会との文案協議を経て、8月29日に協定書の最終協議を行いました。地元協議会から申し入れをした項目のすべてに配慮する内容となっていることもあり、当日、8月29日に合意に至りました。

 今後はしっかりと開発の行方を注視し、「ふるさとの自然保護」及び「適正な活用」を進めていくことが求められています。

  

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